投稿日:2025/12/17
みなさんこんにちは。
新潟県で3PL事業を展開している、株式会社bud梱包出荷サポートです。
このブログでは、物流業界にまつわる様々な事柄について解説しています。
今回のシリーズのテーマは「誤出荷」。
全10回のシリーズで、誤出荷に関する基本的な知識から、誤出荷に潜む思いもよらぬリスク、コストダメージ、根絶に向けた対策など、余すことなく解説していきます。
前半の5回は荷主企業に向けて、後半の5回は倉庫に向けたコンテンツを展開しますので、ぜひ全編お読みいただいて、誤出荷についてマスターしてください!
前回の記事では、プロジェクションマッピングや高度な画像認識AIといった技術によって、「ピッキング」という庫内作業がどのように変貌するか、その可能性を探りました。
今回の記事では、従来の5Sの概念を拡張し、独自の戦略的フレームワーク「5S+1」を提案します。
6番目のS「備える」を加えて、予期せぬトラブルにも負けない現場のつくり方についてご説明します。
ぜひ最後までお付き合いください!
はじめに
「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」
これは、品質と効率を追求するあらゆる現場で、基本中の基本として語られる黄金律です 。
整然と整えられた床、明確に表示されたロケーション、塵一つない作業台。
5Sが徹底された倉庫は、確かに「平常時」においては高いパフォーマンスを発揮します。
しかし、その完璧なシステムは、予期せぬ「非日常」の前にも、同じように機能し続けることができるでしょうか?
大規模な停電でWMS(倉庫管理システム)がダウンした時。
局地的な豪雨で、主要な輸送ルートが寸断された時。
あるいは、感染症の流行で、主要スタッフの半数が出勤できなくなった時。
5Sだけで構築された規律は、このような危機的状況下では、驚くほど脆いものです。
本記事では、従来の5Sの概念を拡張し、真に強靭なオペレーションを構築するための、独自のフレームワーク「5S+1」を提案します。
5Sという日常の規律に、6番目のSとして「備える(そなえる)」、すなわちBCP(事業継続計画)の思想を取り入れ、日常でも非日常でも強く機能する現場の構築を模索します。
非日常への備えは特別な防災訓練の中にあるのではなく、日々の業務の中にこそ、組み込まれるべきであるということを、お伝えできればと思います。
そもそも5Sとは ― 「非常時」には脆いのか?
まず、5Sの価値を再確認しましょう。
- 整理(Seiri): 要るものと要らないものを分け、不要なものを捨てる。
- 整頓(Seiton): 必要なものを、誰でもすぐに取り出せるように置き場所を決め、表示する。
- 清掃(Seiso): 職場を常にきれいに保ち、同時に設備の点検も行う。
- 清潔(Seiketsu): 整理・整頓・清掃の状態を維持し、標準化する。
- 躾(Shitsuke): 決められたルールや手順を、全員が正しく守る習慣をつける。
この5つのSが徹底されることで、無駄な動きがなくなり、作業効率は向上し、モノを探すストレスが減り、そして何よりも、商品や伝票の取り違えといった誤出荷のリスクが大幅に低減します 。
5Sは、間違いなく高品質なオペレーションの土台です。
しかし、5Sはあくまで「システムやインフラが正常に機能している平常時」を前提としています。
5Sを完璧に全うしている高品質な現場も、非常事態への備えがなければ、一瞬で混乱し機能しなくなるかもしれません。
例えば、以下のような事態を想像してみてください。
システムダウン
WMSが停止したとき、システム上でのみ完璧に管理されたロケーション情報は意味をなさなくなります。
ハンディターミナルが機能しなくなって、目による検品が必要になったとき、そのような事態への準備がなければ、現場は大パニックに陥り、誤出荷が多発するでしょう。
インフラ寸断
交通網が麻痺すれば、どれだけ効率的にピッキングしても、商品を届けることはできません。
代替の輸送手段や、別の拠点から出荷する計画がなければ、事業は完全に停止します。
5Sは重要です。しかし、それだけでは不完全なのです。
真に強靭な倉庫には、整理整頓されて清潔な現場だけでなく、「備え」がなければなりません。
「+1」の導入 ― 6番目のS、「備える(Sonaeru)」
そこで「5S+1」のフレームワークをご紹介します。
これは、日常的に繰り返される5Sの各活動に、BCP(事業継続計画)の視点、すなわち非常事態に「備える(Sonaeru)」という概念を意図的に組み込むアプローチです。
「備え」を、年に一度の防災訓練のような特別なイベントとしてではなく、日々の業務に溶け込ませることで、非常事態に見舞われたときにも機能するようなオペレーションと現場を築くことを目的とします。
1.整理(Seiri) + 備える
- 従来の整理: 要るものと要らないものを分ける。
- +1の視点: 「非常時に本当に要るものは何か?」を問い、それをすぐに使える状態で整理する。
- 実践例: 非常用備品(懐中電灯、救急箱、予備バッテリー、非常食、水など)をリスト化し、専用の保管場所を設けて明確に表示する。使用期限を管理し、定期的に入れ替えを行う。
2.整頓(Seiton) + 備える
- 従来の整頓: 誰でも分かるように置き場所を決める。
- +1の視点:「システムが使えない状況で、事業を継続するために必要な情報やツールは何か?」を問い、それを整頓する。
- 実践例:
- 情報の冗長化: WMSがダウンした際に使用する、紙ベースのピッキングリストや在庫台帳のフォーマットを準備し、その使い方をマニュアル化しておく。
- データのバックアップ: 重要な顧客データやシステムデータは、クラウドや別の物理的拠点など、複数の場所にバックアップしておく。
- 代替手段の確保: 通常の通信手段が途絶えた場合に備え、トランシーバーや衛星電話といった代替通信手段の場所を決め、定期的に動作確認を行う。
- 実践例:
3.清掃(Seiso) + 備える
- 従来の清掃: 職場をきれいにし、設備を点検する。
- +1の視点: 「日々の清掃活動が、非常用設備のコンディションチェックを兼ねているか?」を問い、清掃活動の見直しを行う。
- 実践例: 消火器や非常口、防火シャッターの周りを清掃する際に、その機能に異常がないか、障害物がないかをチェックリストに基づいて確認する。非常用発電機の定期的な試運転を、清掃スケジュールに組み込む。
4.清潔(Seiketsu) + 備える
- 従来の清潔: 3S(整理・整頓・清掃)の状態を維持し、標準化する。
- +1の視点: 「非日常への備えが、一過性のイベントではなく、標準的な業務プロセスとして維持されているか?」を問う。
- 実践例: BCP訓練(システムダウンを想定した手作業での出荷訓練など)を、単なる特別イベントではなく、四半期ごとに行う「標準業務」としてカレンダーに組み込む。訓練の結果を評価し、手順書を常に最新の状態に保つ。
5.躾(Shitsuke)+ 備える
- 従来の躾: 決められたルールを守る習慣をつける。
- +1の視点:「平常時の規律だけでなく、『備え』の文化が組織に根付いているか?」を問う。
- 実践例: 朝礼などで、BCPに関する情報を定期的に共有する。WMSがダウンした際に、チームがパニックに陥ることなく、リーダーの指示のもとで冷静に代替手順に移行できるか。これは、日々の躾を通じて「いざという時にどう動くべきか」という共通認識が醸成されていて初めて可能になる。
まとめ:非常時にも強い倉庫は、日常の規律から生まれる
いかがだったでしょうか。
オペレーションの規律(5S)と、戦略的なレジリエンス(BCP)は、決して別々の活動ではありません。
非日常への備えを日常の標準作業の中に上手く埋め込んで初めて、本当に強い倉庫・組織・現場をつくることができるのではないでしょうか。
「5S+1」フレームワークは、BCPという抽象的な計画を、日々の具体的な行動へと落とし込むための強力なツールです。
このフレームワークを実践することで、「備え」は分厚いマニュアルの中に眠る死んだ知識ではなく、従業員一人ひとりの身体に染み込んだ生きた知恵となります。
そして、このような文化が醸成された倉庫こそが、有事の際にも品質を維持し、誤出荷率は低いまま、顧客への供給責任を果たし続けることができる、真に強靭な物流パートナーなのではないでしょうか。
ここまで全10回に渡って、「誤出荷」という問題に様々な角度から切り込んできました。
誤出荷に悩む皆さんに、少しでも有益な情報をお届けできていたらうれしい限りです!
今後も色々なテーマでブログを執筆します、ぜひお楽しみに!
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