投稿日:2025/09/25
みなさんこんにちは。
新潟県で3PL事業を展開している、株式会社bud梱包出荷サポートです。
このブログでは、物流業界にまつわる様々な事柄について解説しています。
今回は「RSL(楽天スーパーロジスティクス)」について。
全10回のシリーズで、RSLの基本から、グリーンロジスティクスに至るまでを解説し、自社の物流パートナーとして、RSLを選ぶべきなのか、3PLを選ぶべきなのか、悩める皆さんの一助となるような記事を展開します。
シリーズ第6回となる前回の記事では、物流パートナーの切り替えを単なる「危機」ではなく、自社のオペレーション能力を根本からアップグレードする「機会」と捉え、RSLの限界点を見極めるための指標と、リスクを最小限に抑えながら新たな3PLパートナーへ“失敗しない”で移行するための戦略的フレームワークを、具体的かつ実践的に解説しました。
RSLからの戦略的ピボット|3PLへの“失敗しない”移行完全ガイド
第7回となる本記事では、「2024年問題」をテーマに、RSLと3PL双方のモデルを比較します。
ぜひ最後までお読みください!
はじめに
2024年4月から施行されたトラックドライバーの時間外労働上限規制、通称「物流の2024年問題」。
この言葉を耳にしない日はないほど、日本の産業界全体を揺るがす大きな課題となっています。
しかし、これは単なる「運賃が上がる」「荷物が届くのが遅くなる」といった表面的な問題ではありません。
それは、日本のサプライチェーンのあり方そのものに再考を迫る、構造的な変革を意味します。
労働時間の制約により輸送能力は恒久的に減少し、企業はこれまで以上に効率的で、強靭(レジリエント)な物流網の構築を求められています。
この未曾有の課題に直面する中で、楽天スーパーロジスティクス(RSL)とサードパーティ・ロジスティクス(3PL)は、それぞれ異なるアプローチで解決策を提示します。
RSLが提供するのは、その巨大なスケールメリットによる「影響の緩和」。
これは、いわば巨大な防波堤の内側で嵐が過ぎ去るのを待つ戦略です。
一方、3PLが提供するのは、戦略的なネットワーク再設計による真の「強靭性」の構築。
これは、嵐の中でも航海を続けるための高度な航海術です。
本記事では、「2024年問題」という大津波に立ち向かうために、どちらのモデルがより持続可能で強靭なサプライチェーンを築くことができるのかを徹底的に比較・分析します。
「2024年問題」の本質—EC事業者を襲う3つの危機
まず、この問題がEC事業者に与える具体的な影響を再確認する必要があります。
1.輸送能力の低下と際限なきコスト上昇
ドライバー1人が1日で運べる距離と量が減少するため、特に長距離輸送が困難になり、運賃は上昇し続けます。
国土交通省の試算では、対策を講じなければ2030年度には輸送能力が34%も不足すると予測されています。
実際に、多くの企業が運送会社からの運賃値上げ要請を受け入れており、このコストは最終的に商品価格に転嫁されるか、事業者の利益を圧迫します。
2.リードタイムの長期化という顧客体験の悪化
これまで翌日に届けられた荷物が、中一日、あるいはそれ以上を要するようになるなど、配送リードタイムが延長されるリスクが高まります。
スピードが命のEC業界において、これは顧客満足度の低下に直結し、競争力を著しく損ないます。
3.サプライチェーンの分断リスク
運送会社の廃業や取引撤退により、これまで通りに集荷や配送を依頼できなくなる可能性があります。
特定の運送会社や物流拠点に依存している場合、その機能が停止すれば、事業全体が停止するリスクさえあります。
これらの課題は、すべての荷主企業にとって避けられない現実です。
問題は、この現実にどう向き合うかです。
RSLのアプローチ:スケールメリットによる「影響の緩和」
RSLは、この課題に対して、その圧倒的な規模と強力なパートナーシップで対抗します。
規模の経済による防波堤
RSLは、楽天グループとして膨大な物量を扱っています。
このスケールメリットを活かし、提携する日本郵便との間で、安定した輸送キャパシティと有利な運賃条件を確保しています。
RSLを利用する個々の事業者は、この巨大な共同体の傘下に入ることで、個別に運送会社と交渉するよりも安定したサービスを享受できます。
これは、交渉力を持たない中小規模の事業者にとって、短期的な安定を確保する上で有効な戦略と言えるでしょう。
一元化されたネットワーク
RSLは、全国の主要拠点からなる物流ネットワークを構築しています。
これにより、ある程度の輸送効率化が図られています。
RSLのアプローチは、いわば巨大な防波堤の内側にいることで、外部の荒波から身を守るようなものです。
しかし、このモデルは本質的に受動的な防御策です。
RSLの倉庫が最終顧客から遠い場合、その間の輸送(ラストワンマイル)は依然として「2024年問題」の圧力に直接晒されます。
また、RSLのネットワーク構造そのものを、個々のクライアントの都合で変更することはできません。
RSLが提供するキャパシティを2024年問題の波が超えたとき、各社は改めてその課題と向き合わなければならなくなります。
3PLのアプローチ:戦略的最適化による「強靭性」の構築
戦略的な3PLパートナーは、問題を単に受け入れるのではなく、クライアントのサプライチェーン構造そのものを積極的に再設計することで、課題に対応します。
これは、RSLのアプローチに比べると、能動的で根本的な解決策と言えるかもしれません。
モーダルシフトによる航路変更
2024年問題と対峙するとき、トラック輸送だけに依存するサプライチェーンは大きなリスクをはらんでいます。
このリスク緩和のため、長距離輸送区間をトラックから、より環境負荷が低く、ドライバーの長時間労働を必要としない鉄道や内航船(フェリーなど)に切り替える「モーダルシフト」という打ち手が有効になる場合があります。
これは政府も強く推奨する対策であり、CO2排出量削減と安定輸送を両立する強力な手段です。
クライアントに合わせた柔軟な提案ができる3PLだからこそ、こういった手段を検討し、選択することも可能になります。
在庫の分散配置によるリスク分散
単一の巨大な倉庫に在庫を集中させるのではなく、消費地に近い複数の拠点に在庫を分散させることを「分散型在庫配置」と呼びます。
これにより、各拠点から顧客までの配送距離が短縮されますから、トラックドライバーの走行時間は削減され、配送スピードも向上、輸送コストを削減することができます。
クライアントの販売データを分析し、メインとなる顧客層が全国的にどのように分布しているか、クライアントと一緒に分析・検討できる3PLであれば、適切な提案も可能となるでしょう。
輸送効率の最大化
3PLは、輸送の現場における効率化にも深く関与することができます。
例えば、中継輸送。
長距離輸送を複数のドライバーがリレー形式で分担する「中継輸送」という方法があります。
この拠点を各所に設けることで、各ドライバーが日帰りで運行できる体制を構築することが可能になります。
共同配送
複数の荷主の荷物を同じトラックに積み合わせて配送することを「共同配送」と呼びます。
これにより、トラックの積載率を最大化し、車両台数そのものを削減することができます。
複数の荷主を扱い、それぞれの商品特性についても深く理解をしている3PLであれば、最も効率的な積載を実現することが可能です。
DXの活用
バース予約システムを導入して荷待ち時間を削減したり、TMS(輸配送管理システム)で最適な配送ルートを自動計算したりといった、物流DXの推進も、自社で様々なシステムを柔軟に組み合わせて利用している3PLであれば実現可能です。
3PLの強みは、なんといっても、これら複数のうち手を自分たちの主導のもと、自由に組み合わせることができる、という点にあります。
2024年問題、という名前ですが、これからもこの問題には長く向き合っていかなければならないでしょう。
どのような打ち手を、どんなタイミングで打つのか。最も効果的な対応を、物流パートナーとしてクライアントと一緒に考えることができる、それが3PLのアプローチの強みです。
まとめ:避難所か、航海術か
いかがだったでしょうか。
2024年問題を災害に例えるなら、RSLが提供するのは、嵐から身を守るための堅牢な「避難所」です。
それは一定の安心感をもたらしますが、嵐が過ぎ去るのを待つしかありません。
そして、嵐が予想以上に強力だった場合、避難所だけでは対応しきれないかもしれません。
一方、3PLが提供するのは、嵐の中でも航海を続けられるように、船そのものを「再設計」するための知識と道具です。
それは、天候を読み、航路を変え、エンジンの効率を上げ、船体を強化する、総合的な航海術と言えるかもしれません。
「2024年問題」という構造変化により、すべての企業は、自社のサプライチェーンの脆弱性と向き合うことを余儀なくされています。
この危機を乗り越え、将来にわたって持続可能な成長を遂げるためには、単にコスト上昇を吸収するだけでなく、自社の物流網をより賢く、より強く、より柔軟なものへと変革していく必要があるのではないでしょうか。
その変革を実現するための能動的なパートナーとして、戦略的3PLの価値は、これまで以上に高まっていると言えるのではないでしょうか。
次回は
ここまで7回に渡って繰り広げてきたRSLと3PLの比較分析を統合して、EC事業者が自らの状況を客観的に診断し、最適な物流戦略を選択するための具体的なフレームワークを提供します。
お楽しみに!
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