投稿日:2025/10/07
みなさんこんにちは。
新潟県で3PL事業を展開している、株式会社bud梱包出荷サポートです。
このブログでは、物流業界にまつわる様々な事柄について解説しています。
今回は「RSL(楽天スーパーロジスティクス)」について。
全10回のシリーズで、RSLの基本から、グリーンロジスティクスに至るまでを解説し、自社の物流パートナーとして、RSLを選ぶべきなのか、3PLを選ぶべきなのか、悩める皆さんの一助となるような記事を展開します。
シリーズ第9回となる前回の記事では、戦略的サードパーティ・ロジスティクス(3PL)パートナーがもたらす「ビジネスインテリジェンス(BI)」の創出と、それが企業のDXをいかに加速させるのかについて迫りました。
第10回となる本記事では、楽天スーパーロジスティクス(RSL)とサードパーティ・ロジスティクス(3PL)のどちらが、より環境に配慮したブランドイメージの構築と、実質的な環境負荷の低減に貢献できるのかを検証します。
ぜひ最後までお読みください!
はじめに
現代のビジネス環境において、企業の社会的責任、特に環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への配慮、いわゆるESG経営は、もはや単なるトレンドではありません。
消費者の購買決定、投資家の評価、そしてブランドの長期的な存続可能性を左右する、不可欠な経営の「物差し」となっていると言っても過言ではないのではないでしょうか。
このESGの中でも、特に環境への配慮は、消費者にとって最も分かりやすく、共感を呼びやすいテーマです。
そして、物流は、その輸送プロセスにおけるCO2排出や梱包材の使用など、環境に大きな影響を与える事業活動です。
したがって、どの物流パートナーと組むかという選択は、企業のサステナビリティ(持続可能性)への取り組みを具体的に示す「スコアカード」そのものとなり得ます。
本記事では、楽天スーパーロジスティクス(RSL)とサードパーティ・ロジスティクス(3PL)のどちらが、より環境に配慮したブランドイメージの構築と、実質的な環境負荷の低減に貢献できるのかを検証します。
グリーンロジスティクスへの高まる要請—消費者は見ている
地球環境の変動が目に見えるようになってきた現代において、単に良い商品を安く手に入れたいだけではない消費者が増えていることを意識しているでしょうか。
環境に配慮した素材のパッケージを選んだり、配送回数を減らすためにまとめ買いをしたりする消費者の行動は、その意識の高まりを明確に示しています。
消費者の中には、自らが支持するブランドが、地球環境に対して責任ある行動を取っているかどうか、厳しく見ている層が少なからず存在します。
同様に、ESG投資の拡大は、企業に対してサプライチェーン全体での環境負荷削減を強く要請しています。この文脈において、物流プロセスの「グリーン化」は、避けて通れない経営課題なのです。
RSLの立ち位置:大企業の取り組みへの「間接的な参加」
RSLは、楽天という巨大企業グループの一員です。
楽天グループは、企業として独自のサステナビリティ目標を掲げ、大規模な環境への取り組みを行っています。
RSLを利用する事業者は、この大企業の取り組みに間接的に参加し、その恩恵を受けることができます。
これは、自社単独では難しい大規模な環境貢献活動の一部を担っているとアピールできる点で、一つのメリットと言えるでしょう。
しかし、このアプローチには限界があります。
クライアントは、RSLの環境への取り組みに対して、直接的なコントロール権を持ちません。
RSLの物流ネットワークは、あくまで全体の効率性を基に設計されており、個々の荷物にとって最も環境負荷が低いルートが常に選択されるとは限りません。
また、使用される梱包材も標準化されており、よりサステナブルな素材を独自に採用することはできません。
クライアントができるのは、RSLというプラットフォームが提供する「標準的なグリーン性能」を受け入れることだけです。
3PLの役割:サステナビリティ実現の「能動的パートナー」
戦略的な3PLパートナーは、クライアントがサステナビリティを自社のブランドアイデンティティの中核に据え、具体的な行動として示したいと思った時に、強力なパートナーになり得ます。
戦略的なグリーン・サプライチェーン設計
3PLは、クライアントの物流プロセスを根本から見直し、環境負荷を低減するための具体的なソリューションを設計・実行します。
- モーダルシフトの推進
- 3PLは、CO2排出量の多い長距離トラック輸送から、よりクリーンな鉄道輸送や海上輸送(フェリー、内航コンテナ船)へと輸送手段を積極的に転換する「モーダルシフト」を提案・実現することができます。
- ある事例では、関東から九州への輸送をトラックからフェリーに切り替えたことで、CO2排出量を約50%削減できたと報告されています。
- これは、企業が主体的に環境負荷削減に取り組んでいることを示す、非常に強力なメッセージとなります。
- ネットワーク最適化と共同配送
- 消費地に近い場所に在庫を配置することでラストワンマイルの輸送距離を短縮したり、複数の荷主の荷物を積み合わせる共同配送を行うことでトラックの運行台数を削減したりと、ネットワーク全体で排出量を削減する方法も、柔軟に選択することができます。
環境に配慮した梱包の導入
3PLは、クライアントと協力し、リサイクル可能な素材や生分解性プラスチック、あるいは過剰包装をなくすための最適サイズの梱包材を調達・導入することができます。
これは、廃棄物削減に直接貢献するだけでなく、環境意識の高い顧客にブランドの姿勢を明確に伝えることができる有効な打ち手の一つです。
静脈物流(リバースロジスティクス)の構築
3PLは、販売後の返品や使用済み製品を効率的に回収し、再利用(リユース)、再資源化(リサイクル)、あるいは適切な廃棄を行う「静脈物流」の体制を構築できます。
これは、製品ライフサイクル全体での環境負荷を低減する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に不可欠な機能であり、企業のサステナビリティへのコミットメントをより高いレベルで示すものです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
RSLを利用する企業は、自社のサステナビリティについて「私たちの物流パートナーは、楽天の環境への取り組みの一環です」と語ることができます。これは、グリーンロジスティクスへの要請が世間的に高まる中では、やや受動的な姿勢と言えるかもしれません。
一方、戦略的3PLと協業する企業は、「私たちは物流パートナーと協力し、輸送網を再設計することで、年間輸送におけるCO2排出量をXX%削減しました。また、梱包材はすべてリサイクル可能な素材に切り替え、サーキュラーエコノミーの実現を目指しています」と語ることができます。
これは、具体的で、測定可能で、そして何よりも企業の主体的な意志を示す、能動的なメッセージとなり得ます。
どちらのメッセージが、環境意識の高い消費者や投資家の心を動かすでしょうか。
3PLパートナーシップは、企業が掲げる「サステナビリティ」という抽象的な目標を、測定可能で具体的な成果へと転換するための専門知識と実行能力を持ち合わせています。
物流パートナーの選択は、単に商品を届ける方法を選ぶだけでなく、自社がどのような価値観を持ち、どのような未来を築きたいのかを社会に示す、極めて重要なブランド・ステートメントなのです。
より良い未来のために、物流からサステナビリティを考えてみては、いかがでしょうか。
ここまで、全10回に渡って、RSLと3PLを様々な観点から比較検討し、深く掘り下げてきました。
自社の物流パートナーとしてRSLを選ぶべきか3PLを選ぶべきか、悩んでいる皆様に、少しでもお役に立てていたらいいなと思います。
RSLは、独自のエコノミーの中で標準化・適正化されたプロセスを用いて、画一的で分かりやすい物流を提供してくれます。
3PLが提供する価値は、やや複雑かもしれませんが、自社にとって今必要なこと、未来に向けて実現したいことを考えていく中で、様々なことに柔軟に対応できる点が魅力的です。
物流を、ビジネスにおける一機能としてではなく、事業を戦略的に成長させ続けるためのトリガーのひとつとして位置づけ、それを一緒に実現してくれるパートナーとして、共に走ることができます。
自社の企業規模や事業のフェーズをじっくりと検討し、何を選択していけばよいか、考えてみていただけたらと思います。
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