投稿日:2025/11/12
みなさんこんにちは。
新潟県で3PL事業を展開している、株式会社bud梱包出荷サポートです。
このブログでは、物流業界にまつわる様々な事柄について解説しています。
今回のシリーズのテーマは「誤出荷」。
全10回のシリーズで、誤出荷に関する基本的な知識から、誤出荷に潜む思いもよらぬリスク、コストダメージ、根絶に向けた対策など、余すことなく解説していきます。
前半の5回は荷主企業に向けて、後半の5回は倉庫に向けたコンテンツを展開しますので、ぜひ全編お読みいただいて、誤出荷についてマスターしてください!
第4回となる前回の記事では、誤出荷の防止は極めて強力な「攻めのマーケティング」である、という視点で、物流品質を新たな視点から捉え直しました。
第5回となる本記事では、なぜ手作業ベースのオペレーションが成長の壁となるのかを明らかにし、賢明な荷主企業がパートナーに求めるべきテクノロジーの階層を具体的に提示します。
ぜひ最後までお付き合いください!
はじめに
事業の成長は、喜ばしいと同時に、新たな課題を生み出します。
注文数が1日100件から1,000件、そして10,000件へとスケールしていく過程で、これまで機能していた物流オペレーションは、突如として限界を迎え、悲鳴を上げ始めます。
その最も顕著な兆候が、「誤出荷の爆発的な増加」です。
多くの成長企業が、3PLパートナーを選定する際に「現在の物量」と「現在の価格」を基準にしてしまいます。
しかし、その選択は、自社の未来の成長可能性に足かせをはめる、極めて近視眼的な判断かもしれません。
真に価値のある3PLパートナーとは、今日の価格の安さを提供するベンダーではありません。
貴社のビジネスが明日に直面するであろう課題を予測し、それを解決するためのテクノロジーに積極的に投資している3PLです。
本記事では、3PL選定の視点を「今」から「未来」へとシフトさせ、なぜ手作業ベースのオペレーションが成長の壁となるのかを明らかにし、賢明な荷主企業がパートナーに求めるべきテクノロジーの階層を具体的に提示します。
今日の見積書に書かれた数字だけでなく、パートナーの「技術ロードマップ」にまで目を向けて、最適な3PLを選定するポイントをお伝えしていきます。
成長の壁 ― 手作業プロセスの避けられない限界
ビジネスの初期段階では、紙のピッキングリストと人間の目視による検品でも、なんとかオペレーションは回るかもしれません。
しかし、事業規模が拡大するにつれて、この手作業ベースのシステムは、本質的な脆弱性を露呈します 。
エラー率の指数関数的増加
注文数やSKU(在庫管理単位)数が増えれば増えるほど、人間の認知能力は限界に達します。
似たような品番、複数の商品を組み合わせる複雑な注文、作業の単調化による集中力の低下。
これらが組み合わさることで、誤出荷率は注文数の増加に比例するどころか、指数関数的に上昇していくのです 。
スケーラビリティの欠如
手作業のプロセスは、人を増やせば処理能力が上がるという単純なものではありません。
人を増やせば、その分コミュニケーションコストや管理コストが増大し、作業スペースは混雑し、かえって非効率になることさえあります。
手作業に依存する倉庫は、本質的に「スケールしない」構造を持っているのです。
属人化のリスク
「あのベテランのAさんがいないと、この複雑な出荷は対応できない」。
このような状況は、一見すると頼もしく見えますが、経営的には極めて危険です。その担当者が退職・休職した途端に、オペレーションが崩壊するリスクを常に抱えていることになります 。
成長を目指す企業にとって、手作業に依存した3PLパートナーは、成長を支えるどころか、成長そのものを阻害する最大のボトルネックとなり得ることが、上記の観点からもお分かりいただけるかと思います。
3PLのエラー防止技術を見極める ― レベル別の階層による理解
では、未来志向の荷主企業は、3PLパートナーの技術力をどのように評価すればよいのでしょうか。
ここでは、エラー防止技術を3つの階層に分けて考えます。
貴社のパートナーがどのレベルに位置しているかを見極めることが、その企業の未来への投資姿勢を測るバロメーターとなります。
レベル1(標準装備):WMSとバーコードスキャン
これは、現代の物流において、品質を語る上での最低限の「標準装備」です。
WMS(倉庫管理システム)
在庫の場所、数量、状態をリアルタイムで一元管理するシステムです 。
これにより、「どこに何があるかわからない」という基本的な問題を解決し、効率的なピッキングを可能にします。
バーコードスキャン
ピッキング時や検品時に、商品バーコードと注文データをハンディターミナルで照合する仕組みです 。
人間の「思い込み」や「見間違い」をシステム的に排除し、商品間違いや数量間違いを大幅に削減します 。
ただし、「標準装備」とはいっても、「ただ導入しているだけ」では意味がありません。
「必要なのに導入していない」「ただ導入しているだけ」「導入しているものを正しく使えていない」
このような状態が見られるようであれば、それは品質管理への意識が著しく低いことの証左であり、長期的なパートナーシップを検討するのは難しいかもしれません。
レベル2(高性能):RFIDと自動化機器
このレベルの技術を導入している3PLは、単なるエラー防止だけでなく、オペレーション全体の生産性向上にコミットする意識を持った企業と言えるかもしれません。
RFID(Radio Frequency Identification)
電波を用いて非接触で複数のICタグを一括で読み取る技術です 。
段ボールを開けずに中身を検品したり、ゲートを通過するだけでカゴ車内の全商品を一括で読み取ったりすることが可能になり、検品スピードと精度を劇的に向上させます 。
マテハン機器(マテリアルハンドリング)
コンベアやソーター(自動仕分け機)、ピッキングロボットなどを導入し、人間が歩き回る、あるいは重いものを運ぶといった作業を自動化します 。これにより、作業者の負担を軽減し、生産性を飛躍的に高めます。
しかしこちらも前述のWMSやバーコードスキャナ同様に、「ただ導入しているだけ」になっていないか、よく観察することが大切です。
残念ながら、不要なマテハンを導入しているケースも散見されます。
自社の課題に合った、適切な自動化設備を検討・導入できる企業かどうか、よく見極めてください。
レベル3(未来志向):AIと予測分析
このレベルに投資している3PLは、まだまだ数としては多くありません。
もはや物流業務の請負業者というよりも、データを活用して未来を予測し、問題を未然に防ぐ、「プロアクティブ・パートナー」と言えるかもしれません。
AIによる予測分析
過去の膨大な出荷データや注文データをAIが分析し、「この種の注文は、この時間帯に、この作業者が担当するとエラー率が高い」といったパターンを学習します。
そして、入ってくる注文に対してリアルタイムでリスクスコアを付け、高リスクな注文には自動的に追加のチェックプロセスを要求するなど、エラーが「発生する前」に介入します 。
ロボティクスとの連携(RaaS – Robot as a Service)
高度なAIと連携したピッキングロボットが、自律的に倉庫内を移動し、最適なピッキングを行う。
このような次世代の自動化倉庫は、24時間365日、ほぼ人手を介さずに高い生産性と品質を維持することを可能にします。
まとめ:未来の成長は、今日のパートナー選定にかかっている
いかがだったでしょうか。
3PLパートナーのテクノロジーへの投資は、単なる設備投資ではありません。
品質向上へのコミットメントの証であり、荷主企業の成長を長期的に支えるという意思の表明であるということが、お分かりいただけたでしょうか。
そして、文中にも幾度となく記しましたが、最も大切なことは、3PL事業者が本当に必要な設備投資を正しく行っているのか?という視点を持つことです。
耳障りのいい「DX」「自動化」という言葉をただ並べて、本質的な部分が抜け落ちてしまっているようでは、真の問題解決は難しいでしょう。
3PLと話をするときには「なぜ、このシステムを導入したのですか」「この設備を導入したことでどのような効果が得られましたか」と、具体的に質問をしてみてください。
明確で納得のいく答えを返せる3PLは、自社やクライアントの課題と真摯に向き合い、適切な設備投資を行える企業でしょう。
そのような企業であれば、貴社の物流パートナーとして、今後の成長を長期的に支えてくれるはずです。
本記事まで、荷主企業の視点に立って誤出荷について様々な角度から検証を行ってきました。
次回からは、倉庫の視点に立って、シリーズを展開していきます。
初回は
誤出荷101|倉庫内ヒューマンエラーに対する心理学的アプローチ
と題して、ヒューマンエラーの背後にある根深い「なぜ」を紐解きながら、人的ミスの真の原因を探ります。
ぜひお楽しみに!
お客様の成長に応じて増していく物流の問題。
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